はじめに
メール移行やサイト移行、レンタルサーバーの解約では、先にドメイン周りの現状を確認します。契約先やDNSの管理場所を取り違えると、Webサイトだけでなくメールまで停止するおそれがあるためです。
最初に確認するのは、次の4点です。
- ドメインの登録情報をどこで管理しているか
- どのネームサーバーがDNSを管理しているか
- Webサイトがどこを向いているか
- メールの受信先と送信認証がどうなっているか
nslookupやdigで確認します。最後に契約中サービスの管理画面と照合して、変更前の記録を残すのが基本です。まず調査対象を一覧にする
メールアドレスなら、@より右側が調査対象です。user@example.comならexample.comを確認します。Webサイトでは、wwwの有無と業務で使うサブドメインも洗い出します。
調査メモには、実際のパスワードや認証コードを書かず、次の項目だけを整理します。
| 確認対象 | 主な情報源 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| ドメイン登録 | JPRS WHOIS、ICANN Lookup、契約画面 | 登録先、有効期限、状態 |
| DNS管理 | NSレコード、契約画面 | ネームサーバー、変更する管理画面 |
| Web | A、AAAA、CNAME | Webサイトの接続先 |
| メール | MX、TXT、DMARC、DKIM | 受信先、SPF、DMARCなど |
各レコードの役割を先に確認したい場合は、A・MX・TXT・NSなどDNSレコードの種類も参考にしてください。
WHOIS・RDAPで登録情報を確認する
JPドメインはJPRS WHOIS、.comや.netなどのgTLDはRDAPを利用するICANN Lookupで確認できます。ICANNは、2025年1月28日からgTLDの登録情報を提供する正式な仕組みとしてRDAPを案内しています。
検索結果では、主に次の項目を確認します。
- Registrarまたは登録サービス提供者
- Name Server
- 登録状態
- 登録日、更新日、有効期限
ただし、公開情報に表示される名称と、実際に料金を支払っている再販事業者が異なることがあります。公開情報だけで契約先を断定せず、請求書や契約メール、管理画面でも確定してください。
WindowsでDNSレコードを確認する
Windows 10/11では、PowerShellからnslookupを実行できます。example.comは文書用の予約ドメインです。調査時は自分が管理するドメインへ置き換えてください。
nslookup -type=NS example.com
nslookup -type=A example.com
nslookup -type=AAAA example.com
nslookup -type=MX example.com
nslookup -type=TXT example.com
nslookup -type=TXT _dmarc.example.com
Webサイトはwwwが別のCNAMEを使っている可能性があるため、次も確認します。
nslookup -type=CNAME www.example.com
nslookup www.example.com
DKIMはメールサービスごとにセレクター名が異なります。管理画面で指定された名前が分かる場合だけ、selector._domainkey.example.comのTXTレコードを確認してください。
Linux・macOSではdigで確認する
digを利用できる環境では、+shortを付けると回答を短く表示できます。
dig NS example.com +short
dig A example.com +short
dig AAAA example.com +short
dig MX example.com +short
dig TXT example.com +short
dig TXT _dmarc.example.com +short
dig CNAME www.example.com +short
TTLを含む回答を確認するときは、+shortを外します。特定のリゾルバーから見える値と比較したい場合は、サーバーを指定できます。
dig MX example.com
dig @8.8.8.8 MX example.com +short
@8.8.8.8はGoogle Public DNSへの問い合わせです。この結果だけで反映完了とは判断せず、通常の結果や権威DNS、必要に応じて別のリゾルバーとも比較します。詳しい操作は、LinuxのdigコマンドでDNSを確認する方法で解説しています。
結果を移行前チェック表へまとめる
コマンドを実行したら、値を眺めるだけで終わらせず、確認日時と一緒に記録します。
| 項目 | 読み取る内容 | 移行・解約前の判断 |
|---|---|---|
| NS | DNSを提供するネームサーバー | 解約するサービスに依存していないか |
| A・AAAA・CNAME | Webサイトの接続先 | 新サーバーへ移行済みか |
| MX | メールの受信先 | 新メールサービスへ移行済みか |
| TXTのSPF | 送信を許可する仕組み | 現在の送信元を漏れなく把握したか |
_dmarcのTXT |
DMARCポリシーと報告先 | 移行後も必要な設定を引き継げるか |
| DKIMのTXT | 公開鍵 | 新サービス用の設定へ切り替える準備があるか |
SPFの~allはSoftFailを表しますが、受信側の処理を一律に決めるものではありません。DMARCのp=none、p=quarantine、p=rejectも不用意に変更せず、送信元とレポートを確認して段階的に扱います。
サーバー解約前に確認すること
DNS調査で分かるのは、公開されている現在の向き先です。解約してよいかは契約情報も含めて判断します。
- NSが解約予定サービスのものなら、先にDNSの移行計画を作る
- A・AAAA・CNAMEで、Webサイトが旧サーバーを参照していないか確認する
- MXとメール認証用TXTで、メールが旧サービスへ依存していないか確認する
- ドメイン契約自体がサーバー契約と一緒に終了しないか、管理画面で確認する
- 現在値、確認日時、変更前後の差分を保存してから切り替える
まとめ
メール・サイト移行やサーバー解約の前には、ドメイン登録、DNS管理、Web、メールを分けて調査します。登録情報はJPRS WHOISやICANN Lookup、DNSレコードはnslookupやdigで確認できます。
大切なのは、ネームサーバー名だけで契約先を決めつけず、公開情報と契約画面を照合することです。現在のレコードと確認日時を保存し、Webとメールの両方が旧サービスへ依存していないことを確認してから、切り替えや解約へ進みましょう。


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